泥かき作業

 ふとした機会で、豪雨被害を受けた岐阜県関市上之保のボランティア活動に参加してきました。上之保は、ゆずや温泉が名物で、景観は素晴らしく被害が出てしまったのはただただ残念です。活動に参加して、当たり前なことかもしれないですが、先輩ボランティアの方々の立ち振る舞いに学ぶことが多かったです。

(当日の流れ)

 公共施設に午前9時前集合。見たところ定年後の方が多そうな感じ?でした。ボランティア受付用紙を書いて、ボランティア保険(500円、1年間有効)に加入します。

 受付後、ボランティアが一か所に集められ募集が始まります。「〇〇の住宅、泥出し作業で〇〇人の人出が必要です、行ける人は挙手してください!」と言われ、挙手した人が集まり、一つのグループの出来上がりです。

 自分が参加したグループは、男性ばかり8名でした。ボランティアの中からリーダーを決め(一番風格のある人に雰囲気で決まった)、自家用車の乗り合わせで移動します。

  車中話をしていたのですが、自家用車を出してくれた人は「去年は福岡に行って、毎年東北……とか」そんなボランティア作業のベテラン(以下Aさん)で、ボランティアの心構えを教えてくれました。

 ■今回はスコップとか資材の貸し出しがあったけど、必要なものは調べ想像して全て自分で用意する必要がある。(車には工具、資材が満載でした)

■最初から全力で作業をしない。ボランティア活動はマラソンだと思って取り組むこと。熱中症もあるから日光に油断しない。

■ボランティアリーダーは、誰か倒れないか気に掛けるので手一杯で作業には集中できないから大変。(体力には自信あるつもりですが、自分が細い体つきをしていたので、申し訳ないなと思いました。)

■ボランティアの受付とか不手際な部分があると感じるかもしれないが、文句は口にしないこと。

 

(住宅到着後)

 被災住宅は1階の部分が完全に浸水しており、床下に泥が堆積していました。若干の悪臭も漂い始めていたので、ひたすら泥を外に掻き出すのが今回の作業です。

 被災者の人になんて声をかけたらいいだろう?とか考えていたけど、出迎えてくれた方は被災してもなお明るく、お茶を出してくれたり声をかけてくれたり、こちらが申し訳なくなるほどボランティアに気を遣ってくれる方でした。

 ひたすらシャベルで泥をかき集め、外に出しという作業は、猛暑日の中体力的にきつかったです。ボランティアリーダーが適宜強制的な休憩号令を入れてくれ助かりました。

 休憩時間。家主の方が好意で日陰のガレージ部分を休憩スペースとして貸し出してくれてくれていたのですが、(屋外のスペースだし)泥のついた長靴のまま上がろうとしたところ、Aさんが「長靴を脱いで上がり」と言い、はっとしました。(ボランティア作業中の子弟関係みたいになっていました)

 また水道も使えたのですが、手を洗うのみの必要最小限にとどめました。「水は極力使わない。いつも水が使えるとは限らないし、水道代も家主の人の負担だから」とのAさんの言葉があったからです。Aさんは帰りも、泥だらけの道具を嫌な顔せず車に積ませてくれました。こういった気遣いはしてもしすぎることはないなと感じました。

 

 ボランティアを終え解散する時、ボランティアリーダーが「やってるときはしんどいけどさ、終わってみるとええ気分やな」と笑いながら言っていたのがさわやかでした。20代後半の独身、自分は社会の役に立てているだろうか?と自問していた中、ボランティア活動を通して、直接感謝されるのは自分自身の活力にもなりました。